明転すると、理容室の椅子と傘立てが置いてある。
男2(ボケ)が、店を整える動作などしている。
男1(ツッコミ)が入ってくる。傘をさしている。
縁の太い丸メガネをかけ、リュックを背負っている。
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男1
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あー、髪そろそろ切らなきゃなー。お、こんなところに理容室ができたのか。入ってみるか。
(傘を傘立てに入れて) すみませーん。
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男2
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いらっしゃーい。(ハサミでいきなり髪を切ろうとする)
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男1
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いきなりだな! 危ないわ!
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男2
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今日は私と同じ髪型でいいですか?(自分の髪を指差して)
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男1
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なんでお前に合わせにいくんだ。親友か。
普通に2~3センチ短くしてください。
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男2
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(とても難しそうな顔をする)分かりました、お受けしましょう。
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男1
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そんな難しいことなくない?
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男2
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もみあげは、自然な感じに無くしていいですか?
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男1
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それ完全に不自然だよな。
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男2
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襟足は、からあげでいいですか?
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男1
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刈り上げだな。襟足からあげにしたら、火傷するわ。刈り上げはなしで。
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男1
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耳は出さない感じに仕上げていいですか?
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男2
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(耳が出ている髪型なので)今めっちゃ耳出てるけど、ホントにできる?
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男2
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はーい、変なメガネお預かりしまーす。
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男1
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失礼だな!(渡す)
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男2
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おーい、これ(メガネ)、貼っといて!
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男1
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貼るな。ポスターちがうわ。普通に置いとけ。
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男2
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そうですか。(床に置く)
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男1
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普通に床に置くな! 大切に扱えよ。
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男2
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(椅子の上に、とても慎重にメガネを置く)
(ちらちら男1を見る)
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男1
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ある程度大切に、普通に置け。
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男2
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じゃ、そこ、座ってくださーい。(床を指さす)
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男1
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おう、ありがとう。(体育座りして)なんでだ。
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男2
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じゃ、テルテル坊主のあれ、首に巻きますねー。
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男1
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なんか名前あるだろ?
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男2
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(巻きながら)さあ?
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男1
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さあって。知ってろよ、お前プロだろ
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男2
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(巻きながら)苦しみ抜いてないですかー?
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男1
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苦しみ抜いてたら気づくよな? 普通。
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男2
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(巻き終わって)はい、立ってください。
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男1
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(立ちながら)なんで地べたに座らされてのか……。
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男2
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……こいつ、立ったらほんとテルテル坊主だな。
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男1
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心の声ダダ漏れだな!
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男2
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ああ、テルテルさん。
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男1
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お客さんな。
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男2
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今更ですが、リュックお預かりしますね。
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男1
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段取り悪いな!
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男2
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失礼しまーす。
(テルテルの下から両手を入れて取ろうとする)
(指がわきわきしている)
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男1
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なんかやだよ! (自分でリュックを取って)ほら、たのむよ
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男2
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おーい、これも貼っといて!
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男1
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なんか渡されたらとりあえず貼るのやめろ。ポスターちがうわ。
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男2
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じゃ、あちら(椅子)へどうぞ。
(椅子の上のメガネを見て)あ、すみません、お席がもういっぱいみたいで。
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男1
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メガネ優先すんな!
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男2
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ああ、本体はこっち?(男2を見ながら)
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男1
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俺をなんだと思ってたの? 本体は明らかに俺だよ。
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男2
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今回はそういう考え方です?
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男1
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いつもそういう考え方だよ!?
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男2
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じゃ、切りますけど、切ってる間に、お前の悩みとか何でも聞くから。
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男1
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なんで親友みたいになってんの?
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男2
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あ、テルテルさん。
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男1
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テルテルちがうわ。
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男2
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(うれしそうに)雨、上がりましたよ。どうも、ありがとうございます。
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男1
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いや、そのお礼いらない。